オハコのこんな事ばっか考えてる。

オハコと申します。オタク関連を中心に広く浅く何かと考えた事を書いていこうと思います。

マンガ「僕はビートルズ」読了!「伝説のバンド」に成り代わる禁断のスリル

最近、マンガ「僕はビートルズを読み終えました~。

それはビートルズへの裏切り。――2010年から1961年にタイムスリップした、ビートルズのコピーバンド。自分たちのきた時代がビートルズのデビュー前年だと知ったメンバーは、ビートルズになり代わることを決意する。“もし、僕がビートルズより先に『イエスタデイ』を発表したら、僕はビートルズになれるかもしれない”

 

アマゾンなどネットの感想を見ると、けっこう批判的な感想も多いんですが…
自分はポピュラーミュージック×タイムスリップ歴史改変という新鮮なアイデアを存分に楽しめる傑作だったな~と!

自分はかわぐちかいじ(この作品では作画担当ですが)作品って、「沈黙の艦隊」のアニメ版を見たくらいしかないんですが、あの「強大な兵器を手にした主人公が世界を揺るがす」というサスペンス。この「僕はビートルズ」にもそれに通じるものがありますね。
「沈黙~」で主人公が手にした兵器が『核の脅威を秘めた原子力潜水艦』なら、ポピュラーミュージックにおける究極兵器といえばビートルズ、ってのは言わずもがな。
まだ世に出ていないビートルズの名曲という武器を駆使して、戦後の日本からどこまであの熱狂に近づけるのか!?の試行錯誤がアツいです。

※てかタイムスリップで未来の武器を…という点では「ジパング」のほうが例えとして合ってるのかしらん(未読なのでわからず)。

 

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また、9巻の作者あとがきには「名曲が自分のものになる感覚というのはどんなものだろう」という発想について語られています。
禁断の歴史改変へ突き進むスリル…読んでいくうち主人公ショウを通してこの感覚もたしかに楽しめてハラハラドキドキでした。

 

 

結成→大ヒット→解散まで全力疾走のスピード感

全体的にスピーディーな展開になってたのも好きなところ。1巻ごとサクサク読めて次巻の続きが気になる展開なので、ものすごいスピードで10巻まで読めてしまいましたw
そのかわり、ビートルズになりかわる決心をする事などについて、ちょっと心理描写が掘り下げ足りないカナー?と思うまま進んで行くトコロも…

とはいえなにせ持ってきたのはビートルズ。それこそビートルズのアルバムをファーストからラストまで一気に聴き通すように、「幻のスタァ、ファブ・フォー」の始動から解散までを駆け抜けるように読めたのが良かったです。

※ネットを見てると「10巻での終わりは諸事情により連載が切り上げられたから」というウワサも見掛けたんですが…
とはいえ
「歴史改変」なんて壮大なスケールな物語というと途中からgdgdになりがちなイメージだし、そういう意味で全力ダッシュのまま10巻でゴールテープを切ってくれたのは結果オーライじゃないかと。

 

 

実際のビートルズネタと、もしものビートルズ

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全編にわたるビートルズネタも盛りだくさん。例えば終盤の公演に向かう列車の背景はなんとなくハードデイズナイトっぽかったり…


その次の「ファンに追いかけられてみる」シーンだったり。

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特にココは『これぞ究極のビートルズごっこ』といったところで、最大の山場へ向けて偽・ビートルズであることのプレッシャーを抱えきった4人が、この一瞬だけ「ビートルズというエンターテイメント」に魅了された一市民に返ったようで…そんな彼らが微笑ましく羨ましい、お気に入りのシーンです。

一方で「史実にはない(ifの)ビートルズ像」も少しだけ出てきます。なかでも作者が事前に自信を持って『漫画でしかできない音楽シーンの表現だ』と予告してたあるシーンがあって…
そこは読む前から期待してましたが、まさに有言実行の出来でした。なんというか「素材を用意して味は読者の全力の想像に委ねる」というか…それもマンガというメディアゆえに納得せざるを得ない手法で…こんな裏ワザもあったのか!と驚きましたw

 

 

ラストはSFなロマンチックに

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そんで最後の主人公ショウの恋(48年越し!)が実るようなラスト。
ビートルズという時代を超える存在が、いっそ「生きる時代が違ったハズの男女」のキューピッドにもなる。なんとも壮大でロマンチックな仕掛けで良きかな。
なにより「知っている歴史は今日まで」って最後の台詞がイカしてて好き。自分はこのシメかたにホッコリしたので終わりよければ全てよし、で。

 

というわけで、「音楽でタイムスリップもの?これは面白そう!」「自分がビートルズだったら…どんな気持ちになるだろか」そんな期待に十分応えて楽しませてくれた作品でした!