オハコのこんな事ばっか考えてる。

オハコと申します。オタク関連を中心に広く浅く何かと考えた事を書いていこうと思います。

映画「夜は短し歩けよ乙女」感想!アニメでこそ表現できる乙女の愛らしさとか、京都の夜の不思議な世界観とか

またもや更新が空いてしまいました…ファッキン年度替わり。

そんなことはさておき、現在公開中のアニメ映画夜は短し歩けよ乙女を観に行きました! 

夜は短し歩けよ乙女 オフィシャルガイド

KADOKAWA (2017-04-08)
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けったいで奇妙奇天烈なのにめっちゃロマンスな青春恋愛ストーリー

kurokaminootome.com

あらすじとしては

天真爛漫でいて大酒豪!?なヒロイン"黒髪の乙女"と、彼女にゾッコンながらクサレ童貞大学生である"先輩"君のふたり。
そして多くの奇妙奇天烈な登場人物たちが、夜の京都を舞台に大騒ぎの乱痴気騒ぎ。果たして先輩君が奔走する恋の成就やいかに!?
 

 てな感じ。 

例えるならうる星やつらのような、とにかく楽しいキャラクターと世界観で面白い事がたくさん起こりまくってコリャ愉快!
ってのもありつつ、「乙女と先輩」「樋口師匠と羽貫女史」「パンツ総番長と林檎の君」といった男女それぞれの関係も劇中の大きな見どころ。

はちゃめちゃ騒動が、実はピュアーな恋模様のときめく物語の連なりだったり、なんとも賑やかな青春モノでしたw



ヒロイン"黒髪の乙女"の絶妙な可愛らしさ 

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まずはとにかく、ヒロインの"乙女"の可愛らしさが半端じゃありません。

まさに古風な「乙女」の出で立ちに、天真爛漫・純真無垢な仕草、振る舞い。
そんな彼女がアニメキャラとして描かれるにあたって、決してブリっこだったりイヤミに感じないのは、イラストレーター・中村佑介さん原案~総作監・伊東伸高さんリファインによるキャラデザの手腕と、CV:花澤香菜さんの正統派なヒロインボイスの成せる技か…

そして可愛いだけでなく、実は大のお酒好き&オモチロいことにチャレンジしまくる胆力の持ち主。大騒動のなか常に先輩の先を行く、作中でも屈指の強キャラでもあるのです。
もう魅力しかない!

 

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特にキメの場面で描かれる、彼女がグラスを傾けてお酒を味わうカットは、透き通るような爽やかさと若さが画面から満ち溢れていて、思わずスクリーンに見とれてしまいした…
もうコレをこのままジュースやお酒のコマーシャルにして、毎日TVに映して欲しい…それぐらい印象的です。

少なくともクサレ童貞大学生で、彼女に惚れないやつなんて一人もいないでしょう(確信)。

 

 

「夜の京都」は、もうひとりの主役。

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この映画で見とれてしまったものがもう一つ、全編にわたって描かれる夜の京都の街並みです。

なんせ「夜は短し歩けよ乙女」なので、劇中背景の多くが夜の京都。
街には華やかなつきだし看板や料亭にぶら下がる提灯…古本市では出店の電球が森をうっすらと照らし…大学の学園祭では模擬店演劇やぐらの照明に花火の光…

 

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やわらかい灯りが、京都の風情ある街並みをほの暗く浮かび上がらせて、そこに千代紙を散らしたようなしっとり鮮やかな色彩が加わる、この背景美術の素晴らしさたるや。
京都らしい古風でいてモダンな、落ち着いたセンスの良さがそのままアニメに持ち込まれたようでした。

アニメ映画で「街の背景が目を引く」といえば、近年なら間違いなく「君の名は。」で、精緻に描きこまれた東京の都心に​まばゆい陽が差すあのイメージ。それを思い出したとき『京都』で『夜』な「夜は短し」の背景美術とは良い意味で真逆、好対照で面白いなぁと思ったり…。

というわけで「君の名は」と同じくらい、「夜の短し」は背景美術にも要注目です!

 

 

監督・湯浅政明「節」が全開!

四畳半神話大系」と同様、観ている「ナンジャソリャ!?」と翻弄されまくる原作の世界観を、アニメという手法で見事に映像で作り上げた、湯浅政明監督「節」も半端じゃありません。

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『小説って表現だから、こんなにある事ない事を好き勝手にできるんだろ!』なんて言いたくなるくらいエキセントリックな原作小説のキャラクターや珍事の数々。あれをよくぞ映像という目に見える形で作り上げたもんだ!と。

リアルな京都とファンタジーな京都の狭間を転げ回るようなこの世界観は、実写でやっちゃうと恐らくあえなく、ツッコミどころの嵐。
だけどアニメなら、妙ちきりんな出で立ちアニメキャラクター達がやることなすこと、そういった違和感を不思議とすっ飛ばして独特のノリに素直に乗っかってしまえます。

アニメでしかやれないことをやれたアニメ映画はサイコー!」という自分なりの基準 でいえば、それに成功している本作もやはりサイコー!です。

特に、ラストの先輩VS乙女の大立ち回りは必見。
前衛的なセンス&ダイナミックなアニメーションがバリバリがバリバリ展開される迫力のアクションシーン!
であると同時に、「クサレ童貞が憧れの女性へ抱くあけすけな葛藤」を見事にアニメーションで表現しているシーンでもあったりw
つーわけで、ある意味これははもうアニメ史に残るレベルの名シーンじゃあないか!?と思えてくるのでした。 

 

 

これだからアニメって面白ぇ!と思える映画

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そんな感じで黒髪の乙女可愛いよ!とか、 夜の京都の街並み奇麗!とか、湯浅演出すごいぜ!って、部分で「夜は短し歩けよ乙女」の感想書いてみました~。
思えばこれみんなアニメーションだからこそ表現できる要素の数々で、劇場で観終わった瞬間も「あ~やっぱアニメってええなぁ」 という第一声がまず脳内に漏れてきましたね。

ただ、エキセントリックな原作があって、さらにその映画化をエキセントリックが得意な監督が担う…という点で、いわゆるサブカル的なノリに慣れない人とか、原作やアニメ版「四畳半神話大系」に 全く触れたことがない人だと伝わりづらいシーンもあったり、 若干人を選ぶ作品ではあるかと。
しかし、ストーリーや展開にはノレずともアニメの映像体験として楽しさは間違いない作品なので、とりあえず「ビジュアル見た感じなんかいいじゃん」なんて思えた人は絶対に見て見て損はない作品ですよ!

 

 

四畳半神話大系オフィシャルガイド