オハコのこんな事ばっか考えてる。

オハコと申します。オタク関連を中心に広く浅く何かと考えた事を書いていこうと思います。

映画「ローガン」感想。アメコミヒーローの最期を通して普遍的な"漢"のテーマを描いた傑作

映画「ローガン」観てきました…!

 

www.foxmovies-jp.com



まず最初に、ローガンが劇中を通して他のキャラクターと疑似家族を形成してるような感じが、これまでのウルヴァリンのイメージから想像もつかない新鮮さでしたねw

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若きミュータントたちの指導者であったプロフェッサーXことチャールズも、老いさらばえて今作ではトイレも困難な要介護老人に…
ってだけならまだしも、常用薬を飲まないとテレパス能力が暴走して無差別に周囲へ危害を加えかねないという、はた迷惑な存在となってます。

いっぽう今作で登場する新たなミュータントの少女・ローラ。
こちらも年端もいかないころから異常な状況にさらされ続けた生い立ちゆえ、手を焼かされるばかり…

そんな「老人と子供」二人を支えるべき立場となってしまい、追っ手からの逃避行のなか彼らの"お世話"に振り回されては、ため息をつくローガンの姿…いやはやこれまでのシリーズとは全く違う意味で哀愁に満ちていますw

 

 

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でも、そんなおかしな疑似家族となった彼らの姿があるからこそ、ジーンと来るシーンにも繋がっててね…

それが逃避行の最中ひょんなことから慎ましいが明るく暮らす一般家庭に一晩身を寄せたシーン。

ごく普通の一家団らんと食事を終え、ベッドまで自身を運んでくれたローガンに対し、チャールズがしみじみと「これが家族というものだ」と語り掛けて。これにはグッと来ました…。

孤独の身であったローガンに対してはもちろん、 同じミュータントであるチャールズ自身が自分に言い聞かせているようで…
ここで初めて、彼が"ミュータントが集う学園"という場所を作ること、維持することに献身した真意を得た気がします。


でも!この後にはあまりにも惨い、しかしきっと避けては通れない、"力を持つもの"が背負わされる悲劇が…ここら辺の救われなさもまた、この物語が描く苦いテーマを印象づけていますね。

 

それは劇中で映像ごと引用される「シェーン」、もしくは許されざる者のような西部劇に定番の

「一度過ぎた力を振るった者に安寧の地は与えられない、しかしそれでも正義を貫くのだ」

という普遍的な"漢"のテーマ。

ちなみにこの映画はR-15指定となるレベルにアクションシーンが過激です。

ローガンや敵を切り裂いたら、腕や足はちぎれ飛び、ザクザクと身体を突き刺した爪には黒ずんだ血がベットリとこびりつきます。
それはローラの戦闘シーンにも同様で、『キックアス』のヒットガールを見た時かそれ以上に「少女にここまで暴力を振るい、振るわせる映像を作ってもいいのか!?」と衝撃でした。

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でもそれは単なる悪趣味なスプラッターではなくて、人を殺める力を振るうってことは、このような恐ろしい光景を自ら作り出すことなのだ!ということでしょうね。

 

しかしそれでも、自分を理解し手を差し伸べてくれたチャールズ、そして同じ境遇を抱えたローラのため、足掻くようにアダマンチウムの爪を立てる壮年のローガンの姿はまさにヒーロー…! 

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そして、ローガンの正義によって守られた少女ローラもまた、その思いを確かに受け継ぎ 新たな世代のミュータントの仲間たちとともに、やはり追われながらも正義を貫くヒーローになるのだろう…と予感させてくれてるラストが、これまた胸熱!

最終的にスクリーンに立つのは「若者たち」であったことに、やはり「X-MEN」の物語であることを感じさせてくれます。



スーパーヒーロー映画らしいスケール感や特殊能力の応酬といった派手さは抑えめですが、そのぶん身に迫る血の通ったアクションと、シリアスなドラマを存分に堪能できる渋・カッコいいヒーロー映画でした…!