オハコのこんな事ばっか考えてる。

オハコと申します。オタク関連を中心に広く浅く何かと考えた事を書いていこうと思います。

映画「パワーレンジャー」観た!丹念な青春ドラマが描く「5人の心がひとつになる」物語

映画「パワーレンジャー」観てきました!

www.power-rangers.jp

 

ニチアサでおなじみ「スーパー戦隊」のアメリカ版が本格映画化!しかも女幹部とか巨大ロボとかお約束もわかってる感じ!?これは絶対に見に行かなくては …って思いつつ観終えた結果…

「良い意味で予想を裏切られた!」「でもお約束はしっかりやってくれた!」

という二つの満足感が得られた良作でした!

 

予想外の青春ドラマ重視の作風で描く「ヒーローチーム」の誕生

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予告を見た限りでは、シンプルに「アクションシーンがメインのライトな作品って感じかな~」とか思っていました。

ところがどっこいこの「パワーレンジャー」、思春期も煮詰まってきたアオいティーンエイジャーのドラマを丁寧に描いた、若者青春ムービーでもあったのです!

 

スーパー戦隊のメンバーとなる主人公たち高校生5人は、それぞれ素行不良の問題児だったり、友人関係でトラブルを起こしたりと、いわゆるハミダシものたちばかり。

この5人が偶然、古代の戦士からスーパーパワーを授かり、やがて襲ってくる強大な敵と戦う使命を託されるわけですが…

ここでニチアサの戦隊シリーズ同様

「それではさっそく全身スーツとマスクの姿に変身!!さぁ戦うぞ!」

ってなる流れだと思っていたのですが…なんと「チーム全員の心が一つにならないと、あの姿へ変身出来ない」という展開に!

そんなワケでなんとこの映画、スーパー戦隊のはずが「なかなかスーツ姿に変身しないまま」物語が進行していくのです。

 

ここから中盤あたりは「果たして5人は心を通じ合わせ本当のヒーローへ変身することができるのか」が物語の焦点に…。

とりあえずスーパー戦隊のお約束である『秘密基地』の中で、お助けロボと共に変身できないまま戦闘訓練を積んで、チームワークを高めよう!ということになるのですが…

そこはやはり、それぞれバラバラの悩みやコンプレックス、ホンネ、心の内…を抱えたティーンたち。なかなか「心を一つにして変身」が出来ない。

 

 

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で、実はこの基地での「戦闘訓練」という長めのくだりが、一つの面白い見せ方になっています。

ココらへんは言い換えれば「スーパーヒーローになるための放課後クラブ活動」の様相。つまりはスポ根・部活モノのの青春ドラマなエッセンスがあります。

鍛錬の日々の中で励まし合い時にぶつかりながら、それぞれ彼らがなぜはみ出し者になってしまったのか?そんな彼らがいかにして心を通じ合わせ、正義のヒーローチームへ覚醒していくのか?

 

この展開になった当初は、「おいおい、早く変身して本当の敵と戦って見せてくれよ!」なんてじれったく思っていたのですが、その丁寧な若者たちの描写を観ているうち、次第に黙ってその行く末を見守るような感じになってしまいましたw

メンバー5人それぞれに違う、人間性の違いやバックボーンをわかりやすく描いていて「あぁ、こいつはまるで俺だ」「自分もこんな感じの鬱屈を抱えていたな…」なんて自己投影してしまうキャラクターが見つかるかも。

※ちなみに自分の場合は、他者とのコミュニケーションがうまくとれない、ギークボーイなブルーレンジャー・ビリーくんに感情移入…

 

で、こういったキャラクターたち一人一人のドラマをふまえ、ついに見事チームの結束が固まった!そしてやっと成功した「変身!」の瞬間、これは見ていてアツくなりましたね~。

5人の心をひとつに」なんて使い古されたヒーローチームものの「お約束」が、この作品の丹念なドラマを踏まえることで、力強い確かなテーマとして真に迫ってきました!

彼らがチームとして結束を深める姿、過酷な訓練シーン、そしてラストの強敵との戦い…少年ジャンプでいうなら『友情・努力・勝利』ですね!

そんなカッコよくて憧れる、ヒーローものに不可欠な要素を丁寧に盛り込んだ作品だと思いました。

 

 

なんと「採石場」は超重要ワード!スーパー戦隊の「お約束」も

とココまでが、"良い意味で予想を裏切られた"部分。

それとは逆に、スーパーヒーロー戦隊といえばこれだよね!という"お約束"もちゃんと映画の中にあってくれたのがうれしいところw

 

例えば宿敵となる、古代からよみがえりし邪悪な「女幹部」リタ。

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その大仰な立ち振舞いに、奇っ怪だけどちょっとセクシーでもあるコスチューム。ここに吹き替え:沢城みゆきさんの素晴らしい女王様ボイス演技が加わって…まさにこれぞ戦隊シリーズの「女幹部」そのものw

主人公たちのキャラクターがじっくりと描写されるぶん、この女幹部様は一種のコメディリリーフ的な魅力もあって素晴らしい悪役でした!

 

さらに特撮ヒーロー作品といえばやはり「採石場」。

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なんとこの作品ではまさにこの採石場が、物語を大きく占める重要な舞台となっているのです!w

アクションシーンはもちろん、前述の青春ドラマ部分、訓練シーンと、大抵のイベントはこの採石場で起こると言っても過言ではなし。ここまで採石場がフィーチャーされるのは、本家スーパー戦隊でさえなかなかないのでは…w

 

そしてやっぱりスーパー戦隊の何十年と続くパターンといえば「敵が巨大化し、レンジャー達も巨大ロボットで対抗する」。

もちろんこれも取り入れられていて、今作の巨大ロボ戦闘シーンはパシフィックリムに通じる巨大感&重量感!映画という長尺の大詰めに相応しい迫力あるシーンでした。

ちなみにこのロボットの戦いにおいて、またもやヒーローチームものならではの「あるギミック」がありまして…ココもまた「5人の心がひとつになる」過程を踏まえたドラマによって、より味わい深い演出になっていて…もう感動的ですらありましたw

 

ここからはスーパー戦隊とは関係ないですが、たとえばサムライミ版スパイダーマンに特徴的に描かれていたような、『平凡な人間がスーパーパワーを得たことによって日常が一変する爽快感』もしっかり取り入れられてて楽しかったり…

そしてヒーローものには必要不可欠!と言いたい「人助け」シーンもしっかり入っていて、これは王道を往くカッコよさ。

昨今のシリアスなヒーローものでは少しないがしろにされがちですが、やっぱり正義のヒーローといえば「人助け」。これもしっかり物語に加えてくれてるのは嬉しかった。*1

 


これぞ正真正銘、若きヒーローチームの誕生譚

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記事前半に書いたように、実はヒーロースーツの姿で戦うシーンというのは、映画全体を通して終盤のみに集中してるため*2、予告映像から期待していた

「ハリウッド級スーパー戦隊アクションをめっちゃ楽しめるのでは!?」

という点においては正直物足りない面もあります。
※個人的にはロボット戦闘をもかっこよかったけど、あのカッコいいヒーロースーツ姿で生身の徒手空拳アクションシーンをもっと見たかった !!

 

ですが、そのぶん5人の若者たちが互いを理解しあい、チームとして結束を高めていく今作の丹念なドラマがあったことで、「若者たちが素晴らしいヒーローチームへ成長する」というジャンルの映画として、かなり完成度が高い作品だと思います。

「こーいう題材だし、なんとなく大衆娯楽的な作りなのだろう 」と思っていたら、実はドラマ部分に重厚な作りこみがあった!

というこの驚きは、例えば「キックアス」とか「シンゴジラ」とか、あのあたりの作品に通じる面白さを思い出したりもしました。

 

ちょっと前に、「孤独な老ヒーローの最期!」を描き切った『ローガン』を見たわけですが、それとは逆の「若者たちのヒーローチーム誕生!」の魅力に溢れるのが本作『パワーレンジャーと言えそうです。

 

 

 

 

*1:まぁ助けるのが幼い命とかじゃなくて、オヤジってのが予想外だったけどw

*2:アクションシーン自体はスーパーパワーを得た日常描写とか、訓練シーンなどを通してけっこうあります