映画「ジョーカー」感想!(字幕・映像編)/趣深いセリフと、「どん底」を味わうゴッサム(ニューヨーク)の映像美
前回の『パンフ良いよ!』記事を書いた映画「ジョーカー」。
今回は感想編ですー。
案の定、思い浮かんだことや語りたいところがいろいろあり、長文になってしまったので、"字幕・映像編"と、"物語・テーマ編"にわけて記事にしようと思います。
字幕でも伝わるセリフ一つ一つの"趣"
まず観ていて思ったのが、出てくるセリフの一つ一つにどれも「趣」があって見逃せない!ということ。
特に主人公・アーサーのセリフはどれも短いセンテンスのなかに重みがあって、日本語字幕に前のめりで「次に彼は何を言うのか」ドキドキしていました。
とくに『この人生以上に"硬貨"な死を望む』っていうフレーズとか、ツイッターでバズるほどでしたね。
ジョーカーの劇中にでてきた『この人生以上に硬貨(高価)な死を』ってネタは原語だと『I hope my death makes more sense(cents)』でmake sence(意義ある)とmake cents(お金になる)でかかっていて字幕だいぶ頑張ってたんだな
— もつれら (@mtmtSF) October 8, 2019
ちなみに字幕を担当しているのはアンゼたかしさんという方。
アメコミ映画全般を見るたびによく見かける名前で、「シャザム!」のようなカジュアルな作風から、「ブレードランナー2049」や今回のようなシリアスな映画まで、どれもシックリくる字幕を読ませてくれて、いやぁ良い仕事してますねぇ…!
アーサーの「どん底」を共に味わう映像美に圧倒。
セリフと同じく、アーサーのどん底っぷりを描き出す「映像美」も…ものすごかったですね。
アーサーがトボトボと家路につく寒々しい住宅地…安アパートの廊下は青白い蛍光灯で薄暗く、住む人々のかすかな希望すら萎えさせるようで…。
ドン底の「暮らし」が描かれるシーンのたび、脳内ではビートルズの「エリナーリグビー」のフレーズ…『Ah, look at all the lonely people(あぁ、あの孤独な人々をごらんよ…)』 が、何度も頭の中に鳴り響いてきました。なんと心の荒む映像クオリティか!と
「暮らしの描写」のほか、街に出たときの光景も作り込みが圧巻。
舞台は架空の都市「ゴッサムシティ」ですが、ゴミがそこかしこに転がり、ラクガキだらけの鉄道が印象的に出てくるあたりは、80年代初頭くらいの「荒れた時期のニューヨーク」を彷彿とさせますね。
(そういえばウォッチメンの作者アランムーアは、バットマンの傑作シリーズ『キリングジョーク』も手掛けていて、この映画でもジョーカーの設定の一部がそこから拝借されていたりします。)
それと、1977年のニューヨークでは大停電が起こり、当時不満を抱えていた市民が停電の混乱に乗じて暴動や略奪が巻き起こった、という歴史があるんですが…
映画ラストで暴動シーンが出てきたときは(停電こそしてないけど)、この『NY大停電』で荒れ狂ったニューヨークの当時の映像が脳内に浮かびました。
そんなわけで、アメリカにおける『退廃していく社会』を演出するなら、舞台は必然的にこの時代になるのかなーと思ったり。
ちなみに大絶賛中の劇場パンフレットにも、衣装や舞台セット、撮影…といった映像面に関するスタッフのエピソードが見開きでびっしりと文章で解説されていてます。
担当スタッフそれぞれのこだわりを読み進めるにつけ、あの鮮烈な映像体験も納得でした。
と、とりあえずここで、いったん記事をわけようかな…!
描かれている物語やテーマについての感想も書いたんですが、それがこの記事以上に長くなりそうですw
それだけ語りたくなる、今の社会に生きる自分に刺さる映画ってコトなんですなぁ…
ってわけで次の記事へ続く。