オハコのこんな事ばっか考えてる。

オハコと申します。オタク関連を中心に広く浅く何かと考えた事を書いていこうと思います。

映画「天気の子」感想 嬉しかったあの景色が、忌むべきものに変わるとき…

新海誠監督の映画「天気の子」、気になって観てきちゃいましたー!


映画『天気の子』スペシャル予報

 

けっこうネタバレありで、さっそく感想をば…

 

 

 

 

 

 

 

新海誠はほんっとーに東京が好きなんやなぁ

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とにかくまずは、新海誠の描く都市の美しさ」に期待して観に行ったわけですが、結果それに応える凄まじい絵作りを堪能できたので、もうこの時点で大満足!

君の名は。」の都市描写も素晴らしいですが、あちらは舞台の半分は田舎の街でもありましたからね~。かわって「天気の子」の舞台はほぼ終始、東京都心なのが良い!

我々が街中にいるとき、あるいは上から下から…様々な"視点"の「新海誠の都市の絵」を観れる喜びです。

なにを隠そう(?)子供の頃から、野山の風景よりも大都市の街の灯りのほうが、観ていてココロトキめくタイプの自分なので…w

 

なんて言っとりますが、舞台である東京には、せいぜい自分はコミケのついでにぶらついたり、旅行で何泊かしたことがある程度です。

ただそんな自分でも「あっ!この風景はあそこを歩いた時に見覚えが…」なんてシーンがたくさんあったので、それこそ関東に住む人はより感情移入できるのだろうな〜!と ちょっと羨ましくもあったりw

(これはゴジラ映画でよく聞く『自分の街が舞台になったら楽しい』的な楽しさでもありますね)

 

 

濡れたアスファルトに沈む感情

そんな都市の描写のなかで特に印象に残っているのは、『濡れたアスファルトに超接写』するカットが何度か挟まれる演出ですね。

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というのも、我々が日常のなかで、アスファルトが敷いてある地面に顔を近づける瞬間なんて、なかなかないじゃないですか。あるとしたら、転んだ時とか物を落とした時とか…そういう嫌な瞬間

作中、濡れたアスファルトがスクリーンに映し出されると、ふとそういう陰鬱な感情が肌感覚で思い出されてくるんです…なんとなくこっちの感情も鬱々と不安に苛まれるような…。

で、こういう演出がシリアスなシーンにピタっとハマった瞬間とか、これぞ新海節といったところ!

見事に監督に感情を操られてんなぁ~と感服しちゃいました。

 

 

アニメなのに伝わる雨の重さ、陽射しのぬくもり

タイトルが「天気の子」というだけあり、もちろん雨や晴れたときの描写もすごく良かったです…!

特に冒頭の、フェリーの上で突然の大雨を主人公がひっかぶるシーン。

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傘もなく大雨に降られるときの、あの「感触」の再現度たるや…大きくて「重い」雨粒が、自分の肌をバチバチとひっぱたいて来るような、あの感じ。

主人公が着ている服も雨水をしこたま吸い込んで、ぐしょぐしょになって、その水分が重くのしかかって身体にまとわりついているような、あの感じ…。

自分は原付に乗っているとき突然の雨に見舞われることがよくあるので、特にこのシーンはそういう瞬間の皮膚感覚や感情が、そのまま思い起こされて…アニメなのに…実写以上にリアルだなぁ〜!と唸りました。

 

そして、それくらい雨の描写がリアルだからこそ、合間合間に出てくる「晴れる場面」がまた素晴らしいですね。

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ふしぎな力を持つ少女と出会い、街に住む人々のために天気を変えていく前半のメインストーリー。ここでの晴れた瞬間の「空気感」…まさに新海誠ビジュアルの真骨頂ですね。

寒々しい雨粒や重苦しい雲が去り、暖かい太陽の光がさしこむ、あの色や、優しいぬくもり、それを迎える人々の喜び…が、画面からこちらにヒシヒシと伝わってくるんですよ。

劇中で流れるのはラッドウィンプスの音楽ですが、自分の脳内ではビートルズの「ヒアカムズザサン」か「グッドデイ・サンシャイン」なんかが流れてましたw

 

で!!

そんな「晴れることって嬉しい、素晴らしい」というメッセージを前半で丹念に丹念に描いてからの、後半のどんでん返しですよ…!

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雨を止めることはヒロインの命を削ることだった…という真実が発覚し、彼女が消えてしまったあの瞬間。
それまでの「晴れること」へのポジティブな価値観が一転、ネガティブで忌々しい価値観に180度変わってしまう…この仕掛けにやられましたね〜!

「晴れなんていらない!彼女を返してくれよ!無関係なお前らは晴れて嬉しそうだけど、何も知らないで喜んでんじゃねえ!」と、自分も主人公と一緒に、心の中で叫んじゃいましたw

新海誠め…よくもこんなふうに俺たちのココロを激しくゆさぶってきやがる…!

 

そういえば青春モノでよく聞く言い回しに、『世界から取り残されたような孤独感』というのがあるじゃないですか。
自分は今までこの言い回しを、字面では理解したつもりだったんですが…。

本作のこの展開──周囲がノホホンとしてるなか、悲しい真実に打ちのめされる主人公を観て、「ああこれがあの、世界から取り残されたってコトなのか!」とすごく腑に落ちました。
まさに『言葉』でなく『心』で理解できた!ってヤツですねw(byペッシ)

この体験が出来たこと、これもまた「天気の子」を観て良かったと思えるポイントでした…!

 

 

イノセントな愛は、東京より重い・・・!(by利根川)

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そこからあと展開は…ウェブにあがっている感想を見ても…当然、賛否両論ですねw

個人的には、 主人公たちの見た目が(「君の名は。」と比べると特に)幼いこともあり、それなら無茶なワガママ言ったって良いじゃん!
その無邪気(イノセント)な愛のためなら、東京の都市くらい沈んじゃったって、いいわよ!

なんて思えちゃうので、自分は「賛」の立場です!w 

※ゆーても『雨がずっと降り続いた』だけでその場で死人が出たりじゃないし、エピローグで船で通勤している人々の暮らしぶりもなんかノンキしてたので、罪悪感は薄めに思えます

※逆に二人が「君の名は。」くらいの見た目だったら、「いやさすがにキミらの歳なら、もうオトナになって、悲劇と引き換えに世界を救おうよ」なんて思うかも…

 

正直、それも含め全体的なストーリー展開──メインキャラ達の都合の良い出会い方とか、迫るピンチをこれまた都合よく乗り切るタイミングの都合の良さとか…はちょっと雑かなぁ、なんて思ったりはあります。

しかし、映像の美しさと、ストーリーの仕掛けから揺さぶられるエモさはぐうの音も出ず感服したので、劇場で観て良かった一作でした!

 

 

 

余談ですが、作品の中に「君の名は。」の主人公・滝君とヒロイン・三葉も、成長した姿で結構ガッツリ出てきて驚きましたねw

…えっ。ということはあの「君の名は。カップルも、あの東京の災いに巻き込まれてるの…?
なんて想像すると、なんか面白いですねw