映画「ブラックパンサー」感想 アフリカをテーマに様々なモチーフを展開する意欲作!
マーベルヒーロー映画シリーズの一作「ブラックパンサー」観てきました!
ってかコレ、最初はビデオで観るだけでいいかな~とか思ってたんですよ。
『ようは前作「シビルウォー」から次の大作「インフィニティウォー」への"つなぎ"&ヒーロー紹介だけの作品じゃないのぉ~?』…なんて思ってて。
しかしアメリカ本国での大評判っぷりや、ラジオ「セッション22」で猛プッシュされていたトークなどを聞いていたら、こりゃ面白そうで…いてもたってもいられず劇場へダッシュ。
結果、これは今劇場で観ていて良かったー!
「アフリカ・黒人」というワードからくる文化・ビジュアル・センス・歴史・社会問題・音楽・etc…と、あらゆるモチーフが詰め込まれている、見応えある作品でした。
イマドキに昇華されたアフリカン・ビジュアル
まず一番楽しかったのが、劇中に出てくるアフリカ部族的なモチーフと現代的なセンスとをミックス・昇華させた新感覚のビジュアル。
特に陛下に御付きの女戦士・オコエ!彼女のヘアスタイルは原始的な部族を思わせるスキンヘッドなんですが、闇カジノに潜入してひと暴れするとき現代的な赤いドレスを翻し、槍を振るうんですよ。
コレがめっちゃめちゃカッコ良くてシビれました!このスタイル、まさにアフリカ民族的センスと現代的なセンスとのハイブリッドなカッコよさ&美しさ!
旧来のステレオタイプな未開のアフリカ部族スタイル発見!=神秘的でかっこいー!
という薄っぺらいものじゃなく、現代そして近未来に生きるアフリカ民族のイカしたビジュアルとは?スタイルとは?を追及した素晴らしいものだなと。
また、最初こそ変装のために着けていたオシャレカツラを「ええい、うっとおしぃっ!」と敵に投げつけるシーンもあったり。強烈に個性を放つ本来のスキンヘッドになったら、もう変装の必要もないわ!とばかりに大暴れ。
溶け込むために装った姿より、本来の自分自身の姿こそ強く美しいのだ!ってパワフルなメッセージにも思えるアツい展開です。
その点で言うと、むしろ主人公である陛下ことブラックパンサーのほうは、爪と体術…あと、蓄積したダメージをショックで返す技ぐらいしかなくて他に出てくる戦士より地味なほうかもw
アフリカン・ミュージックのビートで、アクションがたぎる!
ヒーロー映画の中でも群を抜いて音楽も素晴らしかったですね~。
まず当初予想していたラップやヒップホップなどの使い方もかっこいいのですが…
それ以上に、原始的な木製の打楽器や太鼓によるチャカポコチャカポコチャポコ…という複雑なドラミングや、エェーイェーオォー!ってな具合の情熱的なシャウトが印象的な、アフリカ民族音楽調のBGM!これが良すぎるw
音楽の原点と言っても良いこーいう情熱的なビートをバックに、前述のようなアフリカ×現代ハイブリッドのビジュアルでアクションしまくり…そりゃあアツいのなんのって!
「ワカンダ」という、意味深いフィクション国家
アフリカの小さな農業国「ワカンダ」が、実はスーパーエネルギー資源を莫大に保有していた!ていう設定から始まるストーリーも面白いです。
思えば現実では、発達した先進国は資源のある小国を征服・略奪・支配するのが歴史の常でありますが…
ワカンダの場合は、資源の存在を内密にするだけならまだしも、長い年月を経てもはやアメリカほか大国をも凌駕する、超・技術発展をとげてるのが重要なところ。
「国が狙われてしまうから、資源のことは秘密にしておこうね」ってのが、いつのまにか逆になって「世界のパワーバランスを壊してしまうほどの技術を得ちゃったから、この事は秘密にしておかないとね」っていう逆転現象みたいなのが起きてるというw
現実は「先進国>途上国」と喰われる構図なわけですが、この映画だと「途上国ワカンダ(実は超先進国)>先進国>途上国」
っていう、なんだか可笑しいらせん構造のようなパワーバランスを背景に、物語が展開していきます。
こういった背景設定を打ち出したうえで、劇中の宿敵・キルモンガーの『アフリカ系を虐げてきた奴らを、今度はこちらが同じ方法で蹂躙してやる!』という叫び。
現実にあった、いや今も続く歴史を振り返ってみると、こんなヴィランの主張も否定しきれないやりきれなさも感じられて…。
大昔から今に至る国際社会への痛烈な批判・カリカチュアすら感じさせられるドラマも魅力的な映画です。
以上、色々と気に入った部分など感想を書いてみました~。
ネタバレではありますが、今後のインフィニティウォーにて最強の宇宙人・サノスが襲来するにあたり、「そんなめっちゃ強い敵に地球の人類どうやって立ち向かうのよ!」っていう問題に対して、この映画のラストが深く関わってきますね。
その点でいうと、「マーベルシネマティックユニバース」のシリーズという点においても、結構重要な一作とも言えそうです。
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