愛おしき「デジタル」なアイツとの別れ…映画「デジモンアドベンチャー ラストエボリューション絆」感想
「デジモンアドベンチャー ラストエボリューション絆」、劇場で観てきましたー!
いや〜傑作であった!
とゆーのも、先に観た友人から「今度のデジモン映画、めちゃめちゃ良かったぞ!」と話を聞きまして…正直デジモンはあまり詳しくない自分ですが、それでもラスボスとの戦いやラストシーンで、めちゃめちゃ感動しちゃいました…!
そんなわけで以降はネタバレ全開で感想を語っていこうと思います〜。
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初っ端からネタバレしますが、今回の映画では主人公の太一とヤマトと、二人のパートナーデジモン…それぞれの『別れ』をきっちり描ききっています。
コレ、ひいては作品自体が『かつて選ばれし子供だった、リアルタイム時のデジモンファン(成人済)たちを、デジモンから卒業させる』あるいは『引導を渡す(真の意味で)』ことを思わせる内容でもあり…。
つまりシリーズにおけるかなり挑戦的な内容。下手をこいたらファンからタダじゃ済まない非難を巻き起こしかねません…
が、しかしそのチャレンジをみごとに成功させていました。
20年後の「選ばれし子供達」に向けたデジモン
なんせラストの「変わらないアグモンたちと、大きくなった太一たち」を、じっくりじっくり見せる演出が良かったですね。
永遠に不変なデジタルの存在であるデジモンに対して、可能性に満ちすくすくと成長・変化していく人間の子供。
ある意味対極な生き物だからこそ、パートナーにとてつもないパワーを与える。そしてだからこそ、いつか来る別れの宿命からは逃れられない…という悲しみ。
なにより幼いころからずっと、変わらず自分に寄り添ってくれたデジモンが、「大人になったとき」消えてしまうという構図…これがまた元々は子供たちを楽しませる『デジタルおもちゃ』であったデジモンというコンテンツへのメタファーでもあり、エモい…!
※同時に、そうは言われてもそういうものへの愛着が未だ止まない、卒業できないオタクとしては、耳の痛い話でもあり…w
シリアスなテーマを描ききった作品の完成度
なんせこういうテーマを下手に扱うと、ストーリーが暗いばかりになったり、テーマをそのまんま伝えるようなセリフ朗読ばかりになったり、それで退屈だったり説教臭くなったり…そうなったら、もう観客からは「大きなお世話だバーカ!」って言われかねんのですよね…!
いっぽうで今作は、見せ場のアクションシーンや中盤のミステリー・サスペンスなど、展開にもメリハリが効いてて、大事なテーマを伝えるドラマと併行してしっかりエンターテイメントもこなしてくれてるんですよ。
この完成度あってこその、ラストの感動ですね。
悲しみと狂気を感じさせる魅力的な黒幕
それに敵キャラの描写も味わい深かったですね〜。敵の目的が決して「別れたあの子にまた会いたい」的な私利私欲…利己的じゃないのが良い。
そうじゃなくて『私はもう諦めた。だからアナタたちは救ってあげたい』っていう、純粋に今の選ばれし子供たちのため…という利他的な感情に突き動かされたゆえの行動…だからこそ利己的なワガママヤローより、よっぽど狂人感がマシマシでその信念の強さが恐ろしい。
また、連れ去ってきた子供たちはみなパートナーデジモンと一緒だけど、自分のそばにいるのは無数にいれど「まがい物」のデジモンでしかない…という対比的な構図も悲哀を強く感じさせて…そんなこんなで、けっこう魅力的なラスボスでした。
…つーわけで結論としては、「選ばれし子供たち」という言葉が象徴的なデジモンアドベンチャーというシリーズを「子供から大人への“進化”」「そのための子供時代との決別・試練・痛み…」といった要素で完結させてのけたのが本当に見事。
それこそジュブナイルが大好物な自分には、めちゃくちゃ刺さる作品でした!
むろん、「そんな後付け(?)設定いらない!」と思うファンの人もいると思います…が、いっぽうであちこちの映画サイトで、熱心なファンの人たちによる高評価レビューがたくさん投稿されているのが、なによりこの難しいテーマを描ききったと証とも言えるでしょう。
余談ですが、映画とは別にテレビアニメで新しく近々「デジモンアドベンチャー」が放送されるそうで…
これって最初「今回古参ファンたちに引導を渡してやったのに、また見せるんかい!」なんて思っちゃいましたが…w
しかしね…考えてみれば太一たちこそパートナーと別れたけれども、同時にあの世界では、また別に新たな選ばれし子供たちがパートナーデジモンと出会っているわけですよ。
つまり現実に置き換えるならば、かつて君たちと出会えたように、こんどはその次に世代の子供たち(いまの子供たち)と、アグモンたちが出会う番ってことなんですよ…きっと!
…いやー我ながら良いこと言った。