映画「フリーガイ」感想!ゲーム時代の寓話、トゥルーマンショー、十戒(エクソダス)…
「新スースク」「スペースプレイヤーズ」と続いて、なんだか注目映画が多い今日この頃…
そんな感じで、お次は「フリーガイ」観てきました!
平凡で退屈な毎日を繰り返す、銀行窓口係の男=ガイ。
ある日、自分がゲームの世界の“モブ(背景)キャラ”だという、
<衝撃の真実>に気付いてしまう…。
そして、新しい自分に生まれ変わるため、彼は自分勝手に立ち上がる!
まず最大の嬉しみポイントは、『これゲームオタクじゃないとついてけないんじゃ!?w』ってくらい、ゲーマーあるあるなギャグがいっぱい出てくるところでしたね~。
「スキン」のジョークとか、殺した相手に屈伸煽りとか、フォートナイトのプレイヤーよろしくみんなダンスエモートしまくるとか、実家住み配信者の唐突な親凸配信とか…w
ラストの解決の一手がストリーミング配信なのも現代的。
ただそういう「ゲーマーあるあるが楽しめる」ってだけでは終わらない、普遍的な教訓や現代の問題へのメッセージも込められた、秀逸なSF・コメディ作品でした…!
レビューの評価がのきなみ高いのも、納得です。
世界中みんながゲーミングな今の時代の寓話
この映画、『グランドセフトオートのようなオープンワールド・マルチプレイゲーム』という世界観を土台に、ゲームあるあるギャグ・壮大なSF・あるいは生命とは…といった哲学的なテーマまで、色んな要素をテンコ盛りにして、しかもそれがメチャクチャ調和よく物語として編み上げられているトコロがスゴいなぁ…と!
いわば"完成度"がトンデモない作品です。
例えば、ガイ=モブな人々──それは俺含め、周囲にいるなんでもない人々──に、注目や思いやりを持ってみて!というメッセージ。(ガイの活躍を見た若者が『モブキャラの事なんてなにも考えていなかったの。けど…』と言ったり)
あるいは『自分の人生はこんなもの、これでいいや…って内面化してない?』という啓発。(『恋人役』を演じるだけだったセクシーなブロンドキャラが告発本を出版してみたり…)
そしてAIという形で「自我」に目覚めたゲームキャラは、それはもう尊重すべき『生命』では? ひいては、『生きる』ってどういうことだろう?というSFを通した哲学的テーマ…(裁判云々関係なく、自我に目覚めたガイたちに「生きて欲しい」と奮闘する開発者の二人や、自分で自分の生き方を選ぶ喜びに気付いたキャラたちの姿…)
そういった様々なテーマを観終わったあとついつい考えてみたくなる、現代の人々に気付きを与える『寓話』的な作品だなーと思うのです。
さながら「フリーガイ」は、GTAやフォートナイト、マインクラフト等のマルチゲームが世界を席巻する、いまの時代を舞台にした寓話。
また、そういうメッセージを劇中かなりストレートに描くのも良いですね!そこはもうコメディ映画だけど、ポジティブなメッセージは素直に発信してこーぜ!っていう気概が感じられます。
※じっさい、ここまでストレートに伝える演出だからこそ、今このブログのような感想を抱ける、ってことでもあるしw
思い浮かぶ名作との共通点
色んなテーマを内包したこの作品だからか、自分が観たことのある名作映画との共通点・重なる仕掛けなんかが、けっこうあるなーと。
ざっと思いつくのだと…
『ロールプレイが強いられる世界からの覚醒』という意味では、「レゴムービー」
『つくりもの』じゃない本当の人生に目覚める、あるいはラスト世界中のみんなで主人公の活躍を見守る感じは、「トゥルーマンショー」
終盤、モブたちが新天地を目指して『エクソダス』を決行するあたりの雰囲気は、「モーセの十戒」っぽくもあり…
といって、決して『これらのパクりだ!』って話ではありません!
むしろこういった作品たちが描いてきた意義深いテーマを、てんこ盛りに散りばめながらも小気味良く、ギャグも交えて見事に一つの物語として編み上げた、その完成度にあらためて感服ってコトです。
…と、「フリーガイ」の感想はこんな感じでした~。
そういえばエンドクレジットを最後まで観てたら、字幕監修に『ファミ通』の文字が!
ゲームあるあるネタがてんこ盛りな内容をしっかり楽しめるよう、そういった点も気合いれて作られてる点も評価・大ですな。